上場企業の「空港施設」。その経営トップ人事をめぐる紛糾は、国土交通省OBで、当時取締役だった山口勝弘氏(64)の主張が通るかたちで決着した。
代表取締役副社長に自身が就任することが、古巣である国交省側の意向だ、という主張だった。
山口氏の副社長就任時は、コロナ禍のただ中だった。
会社の足元の業績は厳しかった。
初の民間出身として社長に就任した乗田俊明氏(65)ら経営陣は、2022年5月に中長期経営計画をまとめ、収益の多様化など民間目線のビジネスを推し進めるべく骨を折っていた。
思わぬ大物が空港施設社の本社を訪れたのは、そんなコロナ禍で迎えた3度目の師走。22年12月13日だった。
本田勝氏(70)。
航空行政などをつかさどる国交省で、事務方トップの事務次官まで上り詰めた人物だ。
アポイントは本田氏側からだった。
当時会長だった稲田健也氏と乗田氏が、応接室で対応した。
トップ人事「方針が固まった」
コロナ対策で、ドアは開けっぱなし。本田氏はドアに近い側に座って話し始めたとされる。
国土交通省OBの人事介入問題の実態や背景に、関係者への取材や入手した記録で迫るA-stories「令和の天下り」の3回目。空港施設社を訪ねてきた国交省の元事務次官は「方針が固まった」として同社に天下っていた国交省OBを社長にするよう求めました。元次官と会社側の当時の詳細なやりとりです。
本田氏は、国交省で鉄道局長…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル